米ドルの予測、その2 | 金融研究   

2009年5月17日日曜日

米ドルの予測、その2

この間の米ドルの予測の記事で米ドルがまだまだ下がると書いたんだけど、もうちょっと突っ込んだリサーチをしてみた。

貿易赤字、低い政策金利、毎年増える対外債務、通貨供給、年齢別人口構成、毎年のアメリカの国家予算不足、この後に及んでの国防費の増額などの側面から見て、ドル高、アメリカ経済にプラスになる要素は何も見当たらない無いんだけど、2つだけ、ドルを支えてる事情があると思うのでリサーチしてみた。


1、中国と日本がアメリカ政府の国債を大量に持ってる。
2、世界の基軸通貨であり、原油などの取引に使われてる。



1、中国と日本がアメリカ政府の国債を大量に持ってる。


日本も中国もアメリカに対して多くの輸出を行っており、円高や中国の元高になると国内の輸出に頼る企業に影響が出てくるので、円高、中国元高を好まない。(2004年の3月までは外国為替平衡操作(円売り、ドル買いで市場に介入する事)などで、円高の動きを止めようとしていた。)

ここで考えられる質問は、日本と中国はアメリカ国債を買い続けるのか?、国債はアメリカの財政赤字に対してどれ位影響があるのか?って事。

これがアメリカの財務省から出てるアメリカ国債の主要保有国のリスト。

アメリカ国債

それを元にしたグラフ。



ちょっと単位が分かりにくいんだけど、

1=10億ドル。

だから、1000となると、1兆ドルって言う事。


2009年の3月時点での合計国債発行額は3兆2652億ドル。
2008年の3月時点での合計国債発行額は2兆5050億ドル。

去年の3月から今年の3月まで、1兆2500億ドル発行額が増えている事になる。

前回金融救済額合計の記事で書いた様に既に使用された金融救済額合計は2兆6000億ドル。

そうなると、大体、金融救済額合計の半分はアメリカ国債で賄われている事になる。

ただ、他にもアメリカが必要なお金はある。
09年度の国家予算は4070億ドル不足している。

これだけの数字を見れば。
中国や日本がどれだけアメリカの国債買おうとも、
焼け石に水という気がする。




2、世界の基軸通貨であり、原油などの取引に使われてる。


非常にスピードは遅いが石油産出国も決済通貨を米ドルから他の通貨に変えてきている。

2007年の7月に石油の購入にイランが円での取引を要求


2007年の12月にイランがドルでの石油の購入をストップ


2008年の 2月にイランが石油取引所を設立。
ロシアのルーブルを含む米ドル以外の通貨を受け付ける事に。

2008年の2月にOPECのリーダーがドルからユーロへの変更を示唆しているけど、「時間がかかる」としか言ってない。


2007年の11月にベネズエラが決済通貨に米ドルを使う事に警告。



残念ながら、米ドルでの原油取引をするかどうかに関しての記事はこれ位しかない。石油産出国にとって価値が下がり続ける通貨で取引をするメリットは無い。ただ、実際の所、決済通貨を変えたいんだけれど、アメリカの軍事力が怖いというのが大きいのではないかな。

イラクが決済通貨をユーロに変え、戦争が起きた。決済通貨を米ドルから移行させた挑戦的なイラク、イラン、ベネズエラはアメリカからことごとく悪者扱いされ続けている。

アメリカが国防費を増加させてるという事からも、アメリカが米ドルを守る最後の手段を戦争と捕らえている様に感じる。ただ、戦争は事態をもっともっと悪化させるから。長期的にドルの崩壊、アメリカ経済の終焉は間違いないんだろう。



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