アメリカ政府の09年の予算編成 | 金融研究   

2009年4月30日木曜日

アメリカ政府の09年の予算編成

前々回位の記事で、アートとビジネスの関わりについて書いた。


ま、要約すると、
「機能性だけじゃなくて、人の購買力を決定するのには
良いデザイン、コピー、写真、質感などが重要だよー」って話。

そんな話のすごい良い具体例があったので紹介したいと思う。
今回紹介したいのは、デザインとジャーナリズムが融合した例。

最近、アメリカでは、このデザインジャーナリズムが流行っている気がする。


例えば、これ。アメリカ政府の09年の予算編成をマインドマップで纏めてるのね。


アメリカ政府の09年の予算編成

でも、このマインドマップは色んな工夫が凝らしてあるので、よーく見てみると楽しいよ。

アメリカ政府の全ての部署が円になってる。
この円の大きさでどれだけの予算を貰ってるかが一目瞭然。

そして円の枠の外には、その部署内でどの様に予算が使われているのか、そしてその予算は前年度と比べて何%UPしているのかが分かる。
例えば、Department of Army ならブラックホークのヘリコプターに$1.69billion つぎ込んで前年比16%とかね。

他にも大きな枠の外には、国債$10.150Trillion 前年比8%って書いてある。


この情報の載せ方は革命的だと思う。

文章での情報っていうのは、一つの切り口しか乗せられない。

例えば、「アメリカの納税者は救済プログラムで9.7兆ドル(970兆円)
のリスクを負うっていう記事があった。」という情報があったとして、これが何の役に立つ?
この事実だけ伝えられても比べる要素が無いと何も意味ない。

でも、このイメージで得られる事は非常に多いよね。

1、国家予算はどの様に使われているのか。円の大きさでどの部署に重点を置いてるのか一発で分かる。
2、前年度と比べてどこに使われているのか。時間軸も入れられる。
  -軍の予算が8%と増なので何か有事に備えている可能性が高い。
  -特に陸軍用の兵器、勧誘、トレーニングへの予算が高い。
  -エネルギーの予算も増えている。
  -石油の備蓄の予算が83%増えてる。
  -フュージョンエネルギーも70%超と高い。
3、予算がどの様に負担されているのかも人目で分かる。
4、分からない言葉があれば絵や写真で判断できる


他にももっともっとあると思うんだけど、5分見てみただけでも、たった一枚のページでかなり情報が入ってくる。


これに似たイメージで、コモディティーの需要供給の相関図とか欲しいな。コーン、石油、魚、肉、各種金属、の需要供給が各国で毎年どの様に増えているのか。
それを今回のアメリカ政府の予算のイメージの様にしたら、情報収集の効率が非常にUPするね。そのコモディティーの図の中に実際のコーンの絵とか書いてくれれば
小学生でも何言ってるかわかる。小学生でも世の中の流れ、お金の流れが分かる。それを年度後にまとめてくれたら、一発で流れが分かるよ。




今、日本の新聞社は収入が下がってるらしいけど、こういう事を取り入れて新聞の一面に載せる、そしてそれを年度毎に纏めてイヤーブックみたいのを売っていけば、
情報の付加価値が上がって売り上げを増やす要因が増えるんじゃないのかな。


活字離れの人には、こういうイメージで状況を伝える事が最も良いはず。
活字離れの人の気持ちも分かるんだ。新聞に書いてある事は断片的でほとんど自分の人生に関わらないから、ニュースの実感も分からないし
自分の生活と何ら関係の無い出来事の様に感じるからね。でもこういう絵とイメージを一面に出して行ったらどうだろう?
一発で自分の税金がどの用に使われてて、国の財政がそういう状態にあるのか分かればどう感じるだろう?
きっとちょっとは異なる結果になるんじゃないかな。

ネットで情報が氾濫しているよね。新聞に書いてある事や、雑誌に書いてある記事の多くはネットで手に入る様になった。
でも、実はその情報ってあんまり役に立たない事のが多いよ。目的も無く、整理されていない情報っていうのは価値が無い。
情報は目的があって整理されて見やすくなって初めてその情報の付加価値が付くもんだと思う。例えば四季報とか良い例だよね。金融の情報とかは本当に情報整理が必要。

僕自身の観点から言えば、一般投資家向けの情報はアメリカでもまだまだ全然整理されてない。ヤフーファイナンスとかグーグルファイナンスとか言っても
自分の欲しい情報や、図、グラフっていうのは見つからないんだ。例えば、ある会社のPERとEPSの歴史的な相関関係を見たいと思って探してみても、全然無い。
コモディティーのファンダメンタル(世界での需要と供給)を見たいと思っても無い。結局ネットじゃ見れなくてコモディティー年表みたいのを一万円で買った位だからね。
情報の提供者が情報の価値、ニーズを分かっていない事。まだまだあるはず。ニッチな目的でデータマニアにそういう年表を売るべきだよ。



ジャーナリズムは活字だけじゃなくて、一目で分かるデザインを取り入れていければ未来があるんじゃないのかな。
「活字離れ」と世間のせいにするんじゃなくて、3秒で世界が分かる、小学生でも理解できるって思わせるイメージを作っていって欲しい。


もっともっと、デザインとジャーナリズムの融合できると良いね。



ちなみに他にもこういう例もあった。

中国とアメリカを色んな面で比較しているイメージ


経済刺激策の影響でどの州で雇用が増えたのか。




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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

予算編成のマインドマップは、見ているだけで楽しいですね。 長い記事を読むより、わかりやすいし、読者が自分の知りたい情報を手早く得ることができるのもいいです。
偏りのない報道という点から言っても、新聞はグラフや統計をもっと活用するといいと思います。

akirano13 さんのコメント...

コメントありがとうございます。そうですね。複雑に絡み合ってる事を一発で理解できるのは便利ですよね。日本の新聞は今、どうなってるのか分からないですが、こういう記事(?)が一面にあっても良いのでは無いかと思います。コストと時間はかかると思いますが、二次的にも販売できると思うのでその価値はああるのでは、と思います。

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